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困難時こそチャンスがある― この考えのもと、
高齢者生活サービスの拡充投資を強化してまいります。

売上高330億円、経常利益33億円以上という2022年6月期目標のもと、中・高価格帯を中心としたバランスの良い開設を通じて首都圏・近畿圏の都市部にドミナント形成を目指す介護事業、第二の柱としての立ち上げを本格化する不動産事業、さらに次世代の持続的成長を目指す新たな取り組みについて、代表取締役会長兼社長の下村隆彦に聞きました。

当上半期のポイント

  • コロナ禍における感染防止策の徹底により集団感染の発生を防止できたことから高い入居率を維持、また前期・当期開設ホームの入居も着実に進み、売上高は前年同期比で2桁以上の増収となりました。
  • 既存ホーム増加による増収効果や業務管理の効率化、本社経費の抑制などがあり、利益は大幅な増益となりました。

インタビュー

当上半期の市場環境を含む事業活動の概要、ならびに業績のレビューをお願いします。

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2020年7月1日付の株式会社グッドパートナーズの子会社化により、当期より連結決算の開示が始まりました。個別業績の中核となる介護事業においては、首都圏で3ホーム(189居室)を新規開設した結果、当上半期末で62ホーム(4,191居室)となりました。

当上半期は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会・経済活動が大きく制限された結果、マクロ環境が大幅に悪化いたしました。

中核事業である介護事業を取り巻く業界環境において中長期的な高齢者人口の増加傾向は変わらず、介護サービスに対する需要拡大が見込まれます。このため、異業種からの新規参入による競争の激化傾向が継続、介護職の有効求人倍率についても2020年12月時点で3.99倍(全国平均・常用(パートを含む))と高位を維持しており(全職業平均は1.03倍)、介護職員の確保は引き続き課題となっております。

このような事業環境のもと、当社は2021年1月27日付で、期初業績予想に対する修正を発表いたしました。コロナ禍における営業活動への制限などが影響し、売上高は期初予想を若干下回りましたが、利益面では、期初予想、前年同期ともに大きく上回ることができました。

ホーム内での集団感染予防対応に多大な負荷が生じましたが、感染対策のためのかかり増し経費に対する補助金や新規ホームの開設準備経費に掛かる補助金の受給などがあり、費用負担軽減要因となりました。

介護は、病院など、外部からの感染のリスクが非常に高い事業とされておりますが、感染防止策を徹底し集団感染の発生を防止できたことにより、堅調な業績を実現することができました。

当社では、一人でも感染者・濃厚接触者を確認した場合、ホーム運営スタッフ全員、当該ご入居者さまのフロアに居住される全員に自主的なPCR検査を実施することで、感染拡大を初動で抑え込むとともに、ご入居者さま・ご家族さま、働くスタッフの不安を取り除くための対応を徹底しております。

これらの取り組みの結果、ご入居者さま・ご家族さまからの信頼を得ることができ、開設2年目を経過した既存ホームの入居率は95.7%(前年同期は96.7%)と、高い水準を維持できました。また、コロナ禍において、対面での入居相談や見学がしづらいとの入居希望者さまの声にお応えし、「オンライン入居相談」を開始いたしました。

営業活動に制限がかかったものの、入居を必要とされる皆さまのニーズにお応えし続けたことから、前期開設ならびに当期開設ホームの入居が着実に進みました。これらはいずれもホーム運営スタッフをはじめとする従業員の努力の賜物と言えます。従業員の強い使命感が当上半期の業績を支えたと考えております。

感染症再拡大により不透明感が増す当下半期以降の想定、重点施策についてお聞かせください。

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第3四半期以降の事業環境については予断を許さない状況を想定し、下半期・通期業績予想は期初予想を据え置きといたしました。

介護事業におきまして、当期は期初計画通り、2020年10月に『チャームプレミア鎌倉山(57室)』を、2020年11月に『チャーム板橋蓮根(72室)』と『チャームスイート高円寺(60室)』を開設済みで、今後2021年3月に『チャーム花小金井(66室)』と『チャームプレミア グラン 南麻布(32室)』を開設予定です。

いずれのホームも最寄駅から徒歩15分圏内という好立地を確保しており、首都圏、近畿圏の都市部を中心に強固なドミナントの構築を進めております。

中・高価格帯におけるバランスの良い開設の推進により、高価格帯ホームへの先行投資を吸収して、2桁の売上高経常利益率を創出できる収益構造ができつつあります。今後、先行投資中の高価格帯ホームの入居が促進され、稼働率が向上すれば、介護事業の収益性が更に改善することが期待されます。

なお、2023年6月期以降につきましては、コロナ禍の影響により、近隣住民の皆さまへのご説明に従来以上に時間がかかっているなど、現在の計画よりも開設までに時間がかかる可能性が出てきております。

不動産事業につきましては、有料老人ホームの自社開発案件として、自社運営の『(仮称)チャームスイート苦楽園(兵庫県西宮市、72室)』と他社運営の久我山案件(東京都三鷹市、70室)に着手いたしました。

久我山案件は2022年6月期に、『(仮称)チャームスイート苦楽園』は2023年6月期に開設予定で、2022年6月以降の不動産事業による収益貢献を見込んでおります。

このように、介護事業、不動産事業とも、当期の事業展開につきましては、期初想定通りに進捗しておりますが、コロナ禍における不透明感がさらに増すリスクを考慮し、下半期・通期の業績予想は変更なしといたしました。

2022年6月期、さらにその先を見据えた取り組み、定量目標についてお聞かせください。

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「30:20:10」という現行の指標目標に加え、2022年6月期以降は、「300:400:500」をスローガンに更なる成長を目指してまいります。

当社は、2024年6月期目標として売上高500億円、運営数100ホーム以上を掲げ、経常利益成長率30%、売上高成長率20%、売上高経常利益率10%を定量的な指標目標に設定し、その実現を図っております。

2022年6月期以降は、これに加えて、「300:400:500」をスローガンに、連結売上高330億円、420億円、500億円を目指し、事業規模の拡大と利益創出の双方の実現を図っていきたいと考えております。

その要となるのが、第二の柱である不動産事業です。当社の中核事業である介護事業は、人が創り上げる事業ですから、スタッフの確保やサービスの品質維持が必須です。このため、自社によるホーム開設は年間10ホーム程度が限界と考えております。ホーム数の分母が大きくなれば、成長スピードが鈍化することは避けられません。

過去数年、介護事業の周辺事業として、私は可能な限り新しい事業を展開することを考えてまいりました。その一歩が不動産事業です。当社が推進する介護業界特化型の不動産事業においては、出口戦略を複数設定でき、リスクを大幅に軽減できると考えております。

例えば他社運営案件の場合、ヘルスケアREITなどに物件を売却するわけですが、売却先や運営業者が見つからない場合でも、当社運営に切り替えることでリスクヘッジできるという強みを有しております。

サステナブル経営に関する取り組み強化が始まりました。その概要をお聞かせください。

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高齢者生活サービスを通して「豊かで実りある高齢社会」づくりへの貢献に向けた取り組みを戦略的に実施し、次世代の持続的成長を支える経営基盤の構築を図ってまいります。

社会・環境・ガバナンス面から持続可能性を考慮し、事業の持続可能性向上を図る経営が一層重要な時代になりました。当社は、「豊かで実りある高齢社会」づくりへの貢献をその使命と捉え、高齢者生活サービスを通じた事業活動をグループ一丸となって実践することで企業理念を実現し、持続的成長を目指したいと考えております。

その具体的施策として、社会面では、ホーム運営スタッフの教育を通じたサービスの質の向上があります。当社では、三大介助に加え、接遇マナーやコミュニケーションなど、ご入居者さまの毎日の生活を豊かにするスキル向上を重視しております。コロナ禍対応として、オンラインによる動画を用いた教育研修を強化し、結果として、参加人数が増加いたしました。また、高価格帯ホームではコンシェルジュが接遇教育を担当しておりますが、今後この役割を一層強化していく計画です。

さらに、地域の方々をお招きしての認知症改善プロジェクト「チャームカレッジ」や、介護ノウハウや事例共有「介護研究発表会」をオンライン開催し、介護の質向上、高齢者の方々の生活の質向上や地域社会とのつながり強化を図っております。

2020年7月にグループ入りした介護業界専門の人材派遣会社株式会社グッドパートナーズに対しても当社の教育研修を展開し、質の高い介護人材の創出につなげたいと考えております。

環境面では、オーナーさまのご協力のもと、一部運営ホームにおいて太陽光発電システムを導入しております。今後は、導入ホームを拡大し、再生可能エネルギーの有効活用の検討を進めてまいります。

ガバナンス面では、女性管理職の登用を一層強化してまいります。2020年12月31日現在、役員を含む全従業員における女性比率は73.5%、うち管理職における女性比率は22.8%です。

特に女性ホーム長比率は確実に伸長しております。介護事業は女性スタッフ数が圧倒的に多いので、女性の視点からホームの現場をより良く変えてもらいたいと期待しております。

株主の皆さまへのメッセージをお願いします。

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東証一部上場企業として、社会的課題解決に挑戦し、持続的成長を実現してまいります。「困難時こそチャンスがある。」との想いのもと、進化し続ける企業グループを目指します。

コロナ禍という大きな災いに対するリスク管理を徹底することが、従業員の団結力につながっていると感じております。現場主導の様々な対応が、リスク管理能力を向上させているとともに、感染症以外の災害に対する大きな学びであると思います。

2022年4月、日本取引所グループは新市場区分を導入いたします。当社は現在、プライム市場の上場維持基準を満たしており同市場への上場を目指したいと考えております。

その実現には、リスク管理やサービスの質向上に向けた現場力の一層の強化、介護事業を中核とした更なる事業の柱の構築、利益の質をともなう事業規模の拡大、経営理念の実現を通じた社会的課題解決に向けた経営基盤強化などを戦略的に推進する必要があります。

株主の皆さまには、持続的成長を目指す当社の取り組みに対する変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。