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“『量から質』への転換”の本格的な推進を通じ、
次世代の成長に向けた基盤構築を強化してまいります。

高価格帯ホームへの本格参入を通じ、“「量から質」への転換”を図る介護事業。ご入居者様の豊かな生活を実現するべく、サービスの質向上を図っております。シニア向け不動産事業では、収益の第2の柱とするための取り組みが始動しました。次世代の成長を支える事業基盤の構築・強化の取り組みについて、代表取締役社長の下村隆彦に聞きました。

当期のポイント

  • ・既存ホームが引き続き高い入居率を維持し、前期・当期開設ホームの入居も着実に進んだことにより、売上高は前年同期比で大幅な増収となりました。
  • ・利益面では、既存ホームの増加による増収効果や販売管理費の抑制施策が奏功し、増資による営業外費用を吸収したうえで、営業・経常利益が大きく伸長いたしました。

インタビュー

当上半期の市場環境を含む事業活動の概要、ならびに業績のレビューをお願いします。

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首都圏で2ホーム、近畿圏で1ホームを新規開設した結果、当上半期末で54ホーム、3,724居室となりました。高価格帯ブランド『チャームプレミアグラン』の開設も始まり、プレミアグラン・プレミアを合わせて、8ホーム、403居室となりました。

2018年度の介護報酬改定は、2025年に団塊の世代が75歳以上となり、後期高齢者が急増するとの予測を受け、国民一人ひとりが状態に応じた適切なサービスを受けられるよう、質が高く効率的な介護の提供体制を構築することを目的に、小幅ながらも6年ぶりのプラス改定となりました。

“自立支援・重症化防止に資する質の高い介護サービスの実現”“多様な人材確保と生産性の向上”など、介護保険制度の内容についても見直しがなされました。

当社の主要事業である「介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)」についても、基本単価の引き上げや各種加算の創設などが決定されました。

消費税率の引き上げに伴う2019年度の臨時介護報酬改定についても、勤続年数10年以上の介護福祉士を中心に、特定処遇改善加算をはじめとしたプラス改定となりました。

介護業界におきましては、異業種からの新規参入による競争の激化が続くなか、2019年12月の介護職の有効求人倍率は4.80倍(全国平均・常用(パート含む))とさらに上昇し、全職種平均の1.53倍を大きく上回り、タイトな需給状況が継続しております。

このような事業環境のもと、ミッションである“「豊かで実りある高齢社会」づくりへの貢献”を目指し、当社は“「量から質」への転換”という差別化戦略に注力しております。

重点施策である高価格帯・高級ホームの展開につきましては、2019年8月、最上位シリーズの『チャームプレミアグラン』の第一号ホームを松濤(東京都渋谷区、36室)に開設する一方、12月には『チャームプレミア山手町』(神奈川県横浜市、36室)を開設し、神奈川県への進出を果たし、首都圏における事業展開エリアの拡大に着手いたしました。

これらの結果、当上半期末の累計ホーム数54(3,724居室)のうち、首都圏ホーム比率は30%(居室比率:26%)、『プレミア』『プレミアグラン』ホーム比率は15%(同:11%)となり、売上高が伸長いたしました。

利益面では、開設2年目を経過した既存ホームの比率がホーム数、居室数ともに7割を超え、その入居率が97%前後の高水準を維持していることに加え、新設ホームの入居が好調だったこと、また、高価格帯、中価格帯それぞれにより適した広告宣伝や求人チャネルといった視点で見直しを行うなど、販売管理費投下の効率化を図った結果、2019年12月に実施した新株式発行のための営業外費用を吸収し、営業利益・経常利益ともに伸長いたしました。

なお、四半期純利益につきましては、前第2四半期に発生した近畿圏2ホームの事業譲渡に伴う特別利益がなくなったものの、利益の伸長が寄与し増益となりました。

“「量から質」への転換”の進捗と今後の方向性、その他の重点施策についてお聞かせください。

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高価格帯の最上位ブランド『チャームプレミアグラン』を始動させるとともに、『チャームプレミア』シリーズの開設を積極化しております。

『チャームプレミア グラン松濤(36室)』は、2019年8月の開設以降、12月末現在で、11名のご入居となっております。20㎡前後の居室をご用意しておりましたが、2部屋をつなげるコネクトルームをご希望されたご入居者様が3名おられ、14室が入居済みの状況です。

当下半期以降の高価格帯ホームの開設予定としましては、2020年4月の『チャームプレミア柿の木坂』(東京都目黒区、37室)、2020年9月の『チャームプレミア鎌倉山』(神奈川県鎌倉市、57室)、2021年3月の『チャームプレミア グラン 池田山』(東京都品川区、30室)、『チャームプレミア グラン 南麻布』(東京都港区、30室)、2021年5月の『チャームプレミア グラン 御殿山』(東京都品川区、31室)と東京都、神奈川県での開設を加速する計画です。

高価格帯ホームのご入居者様は、ホームをお選びいただくにあたり、ご自分の要望を満たしたいというお気持ちが強いように思います。このため、今後の開設案件では、広い居室も一定数確保したいと考えております。

新たに進出を果たした神奈川県では、まだ充分に当社ブランドが浸透しておらず、人材の確保も難しい地域です。この地域では、前述の『チャームプレミア山手町』に続き、2020年3月に『チャームスイート新横浜』(神奈川県横浜市、63室)、4月に『チャームスイート東逗子』(神奈川県逗子市、63室)、2021年6月期には、前述の『チャームプレミア鎌倉山』(神奈川県鎌倉市、57室)と、開設を積極化して当社ブランドの浸透を図ってまいります。

首都圏においても、近畿圏同様、中価格帯ホームに対する需要は根強く、それぞれの地域性を考慮し、高価格帯と中価格帯のバランスをとりながら、ドミナントを構築していく計画です。

事業の第2の柱として事業基盤を構築しつつある不動産事業につきましては、シニア向け分譲マンション事業と有料老人ホームの自社開発事業の準備に着手しております。

シニア向け分譲マンション事業では、第1号案件を成功に導くべく、慎重に検討を重ね、デベロッパーと協議を進めております。

有料老人ホームの自社開発事業に関しましては、自社運営と他社運営の案件を並行して進めております。自社運営では、兵庫県西宮市(苦楽園)の土地を取得し、設計に入っております。西宮市より特定施設の指定を受け、介護付有料老人ホームとして来期中、あるいは遅くとも再来期早々には開設の予定です。

他社運営案件に関しましては、東京都三鷹市(久我山)の土地を取得いたしました。現在オペレーター(介護事業者)と交渉を進めており、基本合意締結後の着工を見込んでおります。

苦楽園、久我山案件ともに竣工後はREIT等への売却を計画しておりますが、自社運営の苦楽園は特別利益(固定資産譲渡益)、他社運営の久我山は不動産セグメントでの収益(売上高)計上を見込んでおります。

当下半期以降の事業環境の前提を含めて、短期的な見通しをお聞かせください。

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当期も新規開設が下半期に偏重しております。
新たな成長に向けた新たな資本政策、人材確保・育成の取り組みを推進してまいります。

当期は、新規開設が下半期に偏重しているため、慎重な見通しを維持しております。当期は来期以降に飛躍するための足場固めの年であり、介護事業における体制整備に加え、不動産事業の本格立ち上げに向けた準備期間と位置付けております。

介護事業における人材確保・育成につきましては、2019年10月から、新規加算となった特定処遇改善に加え、会社が費用負担することで、地域手当の増額などの処遇改善を実施しております。

また、定着率向上の取り組みといたしまして、メンター・メンティー制度や社内カウンセラーによる巡回カウンセリングを実施する一方、東京、大阪にて、研修センターでの入社前・入社後・階層別研修を実施いたしました。加えて、外国人人材の採用につきましても、少人数からの受け入れを計画しており、留学生・技能実習生などの受け入れに向けて、ベトナム、ミャンマーへの視察を試験的に実施いたしました。

経営基盤の整備・強化面では、約41億円の資金調達を行い、首都圏・近畿圏での有料老人ホームの建設費・土地取得費に充当する予定でおります。

2020年1月1日を効力発生日とする1:2の株式分割を行うとともに、留保金課税の適用対象外となることを勘案したうえで、期初配当予想の10円を13円(株式分割後6円50銭)に増配修正いたしました。

成長戦略である“「量から質」への転換”に関し、今後の重点施策について教えてください。

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スタッフの人間力の育成を強化し、ハード面のみならず、ソフト面での質を盤石なものとし、入居者様に求められるサービスをしっかり提供できる組織力を育成してまいります。

何よりも重要な経営課題として、“「量から質」への転換”を推進する人材の確保と育成、さらに人材確保に向けた対応があると認識しております。これらの課題を克服するためには、まずは利益をしっかり創出すること、それに基づき社員への処遇改善を業界トップレベルに引き上げることが必須と考えております。人材募集の際に優位性を発揮できることは、今後ますます重要になってくると思います。

さらに、入居対象者が限られる高価格帯とボリュームゾーンである中価格帯において、ホーム展開のバランスをとることが重要であると改めて感じております。

現在進出を加速しております高価格帯におきましても、建物のグレードといったハード面では皆様に受け入れていただける水準にあると考えておりますが、スタッフの接遇やコミュニケーションというソフト面では、一層質を高める必要があると感じております。

ソフト面の質向上に関しましては、中価格帯と高価格帯は全く別のマーケットと捉え、人材の採用・育成のための事業基盤を構築する必要があります。また、入居促進に関しても、金融機関をはじめとしたビジネスマッチングの取り組みを進めております。

さらに、食事、入浴、排せつの三大介助のスキルはもちろん、コミュニケーション能力や接遇力といった人間力をいかに高めるかが非常に重要だと考えております。

ご入居者様の心を癒し、ご入居者様、そのご家族が求めるニーズにしっかり対応できる能力を育成することが必須です。このために、まずはホーム長に対し、社内及び社外講師による勉強会を着手いたしました。また、ソフト面での体制強化に向けて、コミュニケーションや接遇に長けたコンシェルジュの採用を進めております。

株主の皆様へのメッセージをお願いします。

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ご入居者様の日々の生活をより有意義に、実りあるものに…。その想いを実現できる人材を育成し、「豊かで実りある高齢社会」づくりに貢献する企業として、新たな成長を目指します。

ホームの開設と人材の採用・育成のバランスを十分に考慮して事業を推進することは、“「量から質」への転換”を実現するうえで、非常に重要であると考えております。ご入居者様の日々の生活、人生をいかに有意義に実りあるものにしていただくか…。

ご入居者様お一人おひとりのより良い生活について考え、その実践をお手伝いできる人材を育成することは、当社の次世代の成長にとって不可欠です。

現在は、高価格帯の『チャームプレミア』『チャームプレミアグラン』が始動して間もないので、収益的な貢献度はまだ低い状況ですが、これらのホームが本格的に稼働すれば、収益性の向上に大きく貢献すると考えております。

株主の皆様の変わらぬご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。