中期経営計画における介護事業への「原点回帰」の方針のもと、「現場力」の向上によるご入居者様に選ばれるホームの増強、処遇・職場環境の改善等による人材強化、少数精鋭・DX化による生産性の向上に取り組んでおります。これらの取り組みを通じ、サービスや社員の「質」のさらなる追求を実践してまいります。
現場力の向上に向けた教育研修の強化について
現在、私が最も情熱を注いでいるのが困難ケアと身の回りのお世話をする「ケアの分業化、専門化」です。困難ケアはスキルの高いスタッフに任せ、他のスタッフが身の回りのお世話に専念できる環境を整えることで、ケアの質の向上と効率化を更に推し進めていきたいと考えています。
その実現に向けては、現場力の向上が必須です。教育研修については、研修センターでの座学よりも現場OJTを重視する方針のもと、教育研修本部の人員を増強し、課題のあるホームを抽出して、3~4か月間集中的にインストラクターが訪問指導を行う体制で現場力の向上を図っております。
「少数精鋭」の「少数化」については、前期、それなりの成果を上げることができ、それにより創出された利益を従業員の処遇改善に還元いたしました。その結果、当社の給与水準は業界トップレベルに達したと認識しております。一方、「精鋭化」についてはまだ道半ばです。
サービスの質を落とさず「少数化」を図る以上、一人ひとりが「精鋭」でなければなりません。当期は現場でのOJTに加え、階層別の研修プログラムをさらに拡充いたしました。単なる技術習得ではなく、チャームケアの哲学を共有し、自ら考えて動ける人材を育てることが目的です。このように、当期は一人ひとりのスキル向上を図り、ホーム全体の底上げにつなげてまいります。
処遇・職場環境の改善のための取り組みについて
選択的週休3日制の取り組みは大きな成果を上げております。前期の選択率は近畿圏で約60%、首都圏で52~53%に達しており、私が目標としていた50%以上を十分に達成できました。この取り組みは介護業界からも高く評価され、全国介護付きホーム協会から当社の定着ノウハウについて発表してほしいとの依頼をいただいております。
介護業界は24時間365日休みなしの運営が必須ですから、選択的週休3日制は本当に実現できるのかと危惧されておりました。他社でも挑戦して失敗した例がありますが、当社が成功した要因は、まず希望者の多い少数のホームで「やってみる」ことから始めたことにあります。課題を一つずつクリアしながらノウハウを蓄積し、それを横展開していくことで、取り組みが進みました。
この成果は、新卒や中途の採用に新たな効果をもたらしました。特に新卒採用では前年の内定者数を大幅に上回り、早期に採用目標に到達し、さらに増加の勢いであったため最終的に110名で募集を締め切りました。当社は処遇面でも働き方の面でも業界トップレベルを実現しており、介護を志す人にとって魅力的な選択肢となっているようです。中途採用への応募も、前期比約2割増加し、離職率も低下しております。
少数精鋭・DX化による生産性の向上の取り組みについて
介護DXの中核となる取り組み「3:0.9ホーム」につきましては、現在、近畿圏・首都圏それぞれ5ホーム、計10ホームで実証実験を進めております。西宮市では既に認可をいただきましたが、他の自治体についても行政にデータを提出し、承認を得る必要がございますので、しっかりとした運営実績を示すことで認可を取得してまいります。
3:0.9ホームを推進することは、業務効率化の格好のトレーニングになります。まずは、限りなく3:1に近づける運営力を磨くことが、今後の生産性向上につながると考えております。
IT・AI化については、ポータブルエコーの活用を推進してまいりました。当上半期は、60%以上のホームで積極的に活用できるようになりました。また、AIを活用したケアプラン作成支援システムの開発も進めております。当初4ホームで試作品の運用を開始し、改善を重ねた上で、全ホームへの展開を計画しております。このシステム導入によりケアマネジャーの業務効率が大幅に向上し、人員の最適配置の実現に寄与すると考えております。
このほか、新規開設・エリア拡大について、当期は10ホームの新規開設(M&A含む)を予定しており、計画通りに進捗しております。また、名古屋圏への進出につきましても、有力な物件情報が集まりつつあります。
M&Aを通じたホームの取得につきましては、2026年3月に株式会社ビケンテクノからの事業譲受を予定しております。これは仲介会社を介さず、先方の経営トップとの信頼関係から実現した案件です。「当社に任せたい」と言っていただけたことを大変嬉しく思っております。