トップインタビュー

4つのNo.1を目指し、サービスや社員の「質」にこだわった
当社グループ独自の成長を追求してまいります。

成長戦略「既存事業の発展と事業領域拡大」のもと、「質」にこだわった成長を追求し、中期的に連結売上高1,000億円、経常利益100億円以上を目指すチャーム・ケアグループ。成長戦略に基づく事業活動の現状、社会課題を踏まえた今後の方向性について、代表取締役会長兼社長の下村隆彦に聞きました。

当上半期のポイント

  • 介護事業では、当社の既存ホームが引き続き高入居率を維持するとともに、新設ホームと連結子会社であるライク社の平均入居率が好調に推移いたしました。加えて、より少ない人員でサービスの質の維持を目指す少数精鋭プロジェクトの進捗で、労働生産性の向上が進み、利益率が向上いたしました。
  • 不動産事業は計画通りに進捗、その他事業の人材派遣事業が経済活動の正常化で業績が回復してきたことにより、2024年6月期第2四半期(以下、「当第2四半期」)は対前年同期比で増収増益となりました。

インタビュー

既存事業を中心に、当第2四半期の事業活動、ならびに業績のレビューをお願いいたします。

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介護事業は、既存ホームが高入居率を維持、新設ホームの平均入居率も好調に推移するなか、高価格帯ホームの入居も進みました。当社の運営ノウハウが浸透したことで、ライク社の入居率も大幅に改善いたしました。不動産事業は計画通りの進捗を見せ、人材派遣事業等を展開するグッドパートナーズ社の業績が改善基調にあります。

<介護事業>

新型コロナウイルス感染症の影響緩和に伴い、通常の営業活動を再開できたことが、グループ全体の順調な入居につながりました。介護付有料老人ホームに経営資源を集中させ、首都圏・近畿圏の都市部に中・高価格帯を中心として、年間10ホーム以上の開設目標を維持しておりますが、当第2四半期は、近畿圏に2ホーム、138室を新規開設しました。

新設ホームでは、立地と価格設定のバランスが良かったことにより、想定を大きく超える入居率で推移しているホームが出ております。また、営業力強化の一環として取り組んでいるSEO対策やWeb広告の強化が、高価格帯ホームの入居促進につながっております。ライク社については、営業強化、ホーム運営の質改善など、当社のさまざまなノウハウが浸透したことで、入居率が大きく改善いたしました。

ホーム運営では、今後さらに厳しさが増す介護人材不足状況を見据え、人員の効率化に本格的に着手いたしました。見守り機器やインカムなどのIT機器、ChatGPTや配膳ロボットなど、AIを活用した業務の効率化・省力化に加え、業務遂行能力が高い人材を対象とする「アソシエイトリーダー」制度を導入いたしました。少数精鋭プロジェクトのもと、アソシエイトリーダーを軸に、サービスの質の維持を前提とした業務内容と人員配置の最適化を進めております。

<不動産事業>

売却を予定していた2案件のうち、兵庫県宝塚小浜案件に関して売買契約を締結いたしました。また、短期間で収益確保が可能な案件が計画通りに進行しております。

<その他事業(グッドパートナーズ社)>

経済活動の落ち着きに伴い、人材派遣需要が高まり、売上高・利益ともに改善しております。訪問看護需要も拡大しており、全体として、計画以上の進捗となりました。

<新規事業>

AI関連事業として、AI対話エンジンをベースにした対話可能なアバターの開発以外に、AI技術を用いた介護事業者向けのBtoBサービスの事業化を進めており、実証実験の段階に差し掛かっております。

中期経営計画の実践を取り巻く事業環境の変化に対するお考えをお聞かせください。

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2022年、介護職員数が初めて減少に転じたとする調査結果が厚生労働省より発表されました。加速する少子高齢化、顕在化する介護人材不足など、介護市場を取り巻く事業環境変化への対応は待ったなしと捉えております。今から準備しなければ間に合わない―その現状認識で対応を進めてまいります。

日本の高齢者人口は今後も増加を続け、介護サービスに対する需要のさらなる拡大が見込まれますが、介護人材の確保は年々厳しさを増しています。厚生労働省の「雇用動向調査」によると、2022年、介護就業者の離職者数が就業者数を上回り、就業者数が対前年比で約6.3万人下回ったとのことです。また、経済的な理由等により、介護サービスを受けることができない「介護難民」の問題が現実味を帯びてきていると感じております。

2023年より私が手掛けてまいりましたのは、状況が顕在化する前に準備を進めることでした。少数精鋭プロジェクトはその一環の取り組みで、取り組み期間が長くないなかで、一般社団法人全国介護付きホーム協会主催の「介護付きホーム研究サミット2023~第11回介護付きホーム事例研究発表全国大会~」において、当社のチャーム西宮用海町が優秀賞を受賞するなど、高く評価いただいております。

当期は、ケアマネジャーが多くの時間を要しているケアプラン作成業務のChatGPTを用いた支援など、介護の現場における効率化を一層推進し、介護人員の負荷軽減に取り組んでまいります。さらに、介護DX推進課を中心にDX環境に対応できるよう社員のリスキリングに努め、DX化によるご入居者さまへのサービスの向上、現場の負荷軽減ならびに従業員の処遇改善につなげてまいります。その他、一人ひとりの能力・役割とレベルに応じた研修プログラムや、階層別研修の整備、自己啓発を支援する仕組みの充実などを図っております。また、教育・研修センターでの集合研修、eラーニング・オンライン研修など各種研修を組み合わせた教育・研修体制の充実化に引き続き取り組んでまいります。

新規事業では、介護現場における虐待防止システムの構築や介護難民と言われる高齢者の方々を少しでもご支援できる領域の開拓を目指してまいります。さらに、M&Aの活用など、新たな市場開拓に向けた取り組みを強化してまいります。

サステナビリティの取り組みに関し、その評価と今後の方向性についてお聞かせください。

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当社はサステナビリティを巡る諸課題への適切な対応が重要な経営課題であると認識し、事業を通じて取り組む重要課題として5つの項目について目標を設定し、取り組みを進めております。

「従業員の健康への配慮、労働環境の整備、処遇改善」の項目では、働きやすい環境の整備と女性管理職の登用に取り組んでおり、女性管理職比率40%台を目指してまいります。

また、「社会との公正・適正な関わり」の項目の一環として、ヤングケアラー支援に積極的に取り組んでおります。兵庫県尼崎市の当社ホームにて小中学生が職業体験をしながら、ご入居者さまとふれあう「こどもgaカフェ」を定期的に開催し他ホームでの展開も計画しているところです。また、特定非営利活動法人「ふうせんの会」の当事者会の支援や、神戸市と協力しながら支援を行うとともに、ケアラーや被介護者に当社ホームのお部屋とお食事を無料提供するレスパイト「息抜き」支援、就労が困難なケアラーに就労や就労訓練の機会を提供する中間的就労「アルバイト」支援、ケアラーのキャリア形成のための「奨学金」支援などにも取り組んでおります。

若手アーティスト支援を目的に行っているアートギャラリーホームの活動は、公益社団法人企業メセナ協議会による「This is MECENAT」の認定を3年連続で受け、さらに優秀賞を受賞いたしました。メセナ認定の要素として、技術大学や協賛企業が安心して参加できることがありますが、2024年3月オープン予定の「チャームプレミア京都烏丸六角」においては、京都市立芸術大学と連携し、京都市立芸術大学出身の若いアーティストを対象にアート作品を公募しました。

このように、さまざまなステークホルダーの皆さまとの協働活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

株主の皆さまへのメッセージをお願いします。

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サービスや社員の「質」にこだわり、高齢者社会の課題を克服することで、さらなる成長を目指してまいります。

当社は介護事業を中心に、介護周辺のあらゆるニーズを模索しながら積極的に新規事業に取り組んでまいります。しかしながら、単に売上高・運営居室数といった「量」の規模拡大を目指すのではなく、①競争力、②社員力、③財務力、④社員処遇の4つの点で業界No.1を目指すことで他社との差別化を進め、中期目標である連結売上高1,000億円、経常利益100億円以上に向けて、さらなる成長を追求していきたいと考えております。

その推進の在り方としては、自らにより高いチャレンジを課し、その結果、前年同期比で成長を実現する―そういった経営の在り方をご理解いただけますと幸いです。株主の皆さまには、「質」にこだわった成長に対する挑戦を続ける当社グループに、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。